あたらしい休日の形をつくるのは、もしかしたらバッグなのかもしれません。

「また同じような服や鞄を買ってしまった」

という経験はありませんか。もちろんそれは悪いことではありません。同じスタイルを貫き続けることは格好良いことです。持ち物や使うシーンは決まっているわけですから、それに合わせた鞄選びをすればおのずと同じような形や機能のバッグを選ぶのは理に適っています。

しかし、だからこそ新しいスタイルのバッグで冒険してみたい!

この連載では、そういった人のために商品そのものではなく、新しい過ごし方や考え方、ライフスタイルそのものを提案します。ここで紹介することと照らし合わせながら新しいアイテムを検討してみてください。

前置きが長くなりましたが、きょうは「めがねケース」だけを持ち歩いてみましょう。


「外す」を持ち運ぶ

視力がバツグンで普段から裸眼!という人には縁のない話かもしれませんが、きょうのテーマはめがねです。視力が悪いまま外の世界を感じていませんか。メガネケース「だけ」はいるようなミニサコッシュや小さなポーチを持って出かけて見ましょう。

きょう持ち歩くのは「メガネケース」ですが、本当に持ち歩くのは「メガネをはずしている状態」です。とはいえ、まったく無防備な状態で外出することをおすすめするわけにはいきませんので、メガネケースを携えて外の世界へ冒険に出てもらおうというわけです。

「そうはいっても、メガネが無いと何も見えない……」と不安に思われるかもしれません。しかしそれで良いのです。視力の悪い状態で外の世界を感じてみてください。

見えないと、世界が違って見える

少し大きな公園など、自然の中でメガネを外してみましょう。散歩の途中で一息つきたいときに外してみるのも良いです。ちょっとベンチで休憩する際に、思い切ってメガネを取ってみてください。風の感触を肌で感じたり、無音の中にある微かな環境音を耳で捉えたりすることができるはずです。見回すと広がるピンボケした世界の景色は、意外と綺麗だったりするかもしれません。目の良い人には絶対に見ることのできない光景です。桜や紅葉の中で裸眼になってみましょう。視界が不明瞭になることで、色鮮やかな木々に包まれたような幻想的な感覚になるはずです。

もちろん、自然の中だけでなく都会の中でもできます。たとえば食事。メガネを取って食事をするのです。目から入ってくる情報量ががくんと落ちるので、おのずと味や香りに集中することになります。いつも行っているお店ですら感じる味が変わるかもしれません。調味料を足したりするのではなく、視覚からの情報をシャットアウトすることで感じる味を変化させるのです。

友人との会話も、かえって弾むかもしれません。

私が実践してみて一番よかったのは本屋さん。知っている本屋さんならどこの棚にどんな本があるのか、の見当くらいはつけられます。しかしながら本のタイトルがまったく読めません。手に取って顔の近くで開いてようやく分かるレベル。ジャケ買いのさらにその上を行く「ぼやけた視界買い」です。タイトルの知っている本や、興味のある分野の本はネットで買うことができるからこそこうした “ランダムな” 買い方をしてみましょう。いま売れています、だとか○○推薦!のような煽り文や○○賞受賞!といった飾り文句に踊らされずに本を手に取ることができます。逆にいうと今まで何となく手に “取らされていた” ような本を選択肢からシャットアウトすることで、新しい出会いが生まれるのです。

見えないことで見えてくる世界があるのです。

メガネ

目が悪いという個性

かくいう私も目が悪いくて良いことなんてひとつもない、と思っていました。

メガネは暑いし、コンタクトは面倒。メガネにしろコンタクトにしろお金がかかる。生涯でいったいどれほどのお金がかかるのでしょうか。20歳から60歳まで、10年に1回づつ5000円のメガネを買うと仮定して2万5000円かかります。2万5000円。もう少しでNintendo Switch が買えてしまう額です。買い替えの頻度はもっと高いだろうし、値段だって5000円では済まないでしょう。

でもだからといって、悪いことではないのです。そりゃ不便なことだってありますが、目が良い人には、あのぼやけた景色を体験することはできません。メガネを選ぶ楽しさだったり、メガネとコンタクトでオンオフを付けるこれもひとつの個性だと捉えてみましょう。視力が弱い。これをネガティブにとらえずに、前向きに活用してみてはいかが。

自宅以外でメガネを外してみる。外したうえで、「見えない世界」を利用して楽しむ。きょうはそんなトリッキーな過ごし方の提案です。くれぐれも周囲に気を付けて、けがなどをしない(させない)ように注意してくださいね。

「それくらいじゃ新鮮な気持ちになれなかった」という人もいるかもしれませんね。けれども、それはそれでOK。メガネに依存しなくてもそれなりに生活できることがわかったわけですから。見えていても、見えていなくても、どちらも立派な個性ですから。試しに1度だけで構いません。「不自由」を持ち歩いてみませんか?







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